「脱退」より「卒業」推し

 

おはようございますみなみです。

今日はとき宣を聴きながら書いてます。最近のお気に入りは『GAMUSHARA』。

 

そんなことはさておき、前回に引き続き今回も『アイドル論の教科書』を読んで内容の要約とか思ったこととかいろいろまとめたのを、更にまとめて残しておこうと思います。

 

今回は、「第2講:アイドルと「卒業」を考える」。この章ではアイドルの卒業、脱退システムやそういった言葉が使われるようになったワケなど、アイドルの「時間」について論じられています。

アイドルを好きでいたら、卒業や脱退って誰もがぶち当たる壁みたいなものだし、なかなか難しい問題だよなと思います。そんな難しいことについて語られてるのがこの章!

 

「卒業」と「脱退」という言葉について。まずアイドルにはメンバーが活動を休止する際に「卒業」という表現をする場合と「脱退」という言葉を使う場合がそれぞれあります。

そもそも『広辞苑』によれば、「卒業」は 一つの業を終えることとされていて、対して「脱退」は、いったん加入した団体などから抜けることと定義されています。この定義に従えば、どのアイドルにも脱退の言葉が使われるべきなのではないかということです。

じゃあみんな「脱退」でいいじゃん!なんでわざわざ「卒業」なんて言うの?となってきます。ここでは、その答えは、卒業自体が近代日本の学校空間で儀式化され、美化されてきたためだとされています。

 

「卒業」という言葉が意図的に持ち込まれ始めたのはおニャン子クラブ。意味が「脱退」であっても、みんなを卒業という言葉でまとめて送り出すことで、祝福と別れ涙を演出していたそうです。

この「卒業」システムは、おニャン子クラブが芸能界に与えた最大の発明品であると言われています。

 

そして、おニャン子クラブは全員に「卒業」が使われましたが、卒業と脱退が明確に意識されて使い分けられたのが、モーニング娘。です。

男性とスキャンダルを起こすなどで辞めていくメンバーに対しては「脱退」それ以外は「卒業」。

こうやって見ると完全に「卒業」が美化されてるのがわかりますね。意識して使い分け始めたことから、「脱退」って言葉がネガティブに聞こえるようになってしまったのかもしれないけど、それ以外にも「脱退」が前向きじゃない理由が挙げられてます。

 

それには、

①“線分”的な時間

②“直線”的な時間

③“反復”的な時間

④“円環”的な時間

この4つの種類の時間が関係しているみたいです。

もう何言ってるかよくわかんないですね。これほんとに文系扁なの?って思う言葉遣いですけど…まあいいか…。

 

①“線分”的な時間

これは「卒業」という言葉が使われる時間です。始まりと終わりが存在する時間のこと。卒業は入学に始まる時間の終わりなので、線分的だといえます。

「卒業」を掲げた瞬間、アイドルとファンの双方に時限装置が起動するとされています。

 

アイドルがアイドルになってから辞めるまでを始まりから終わりと考えたら、たしかに線分で表せられますね。

本中では、AKB48は「卒業」という言葉が多く使っていて、線分的な時間だと述べられていました。それはきっとAKB48というグループ自体がメンバーにとって通過点であって、始まった時点で卒業が想像されているからなのだと思います。

 

②“直線”的な時間

これは「脱退」が使われる時間です。ずっと続いている時間(直線)からの途中離脱ということです。このような考え方が出来るから、脱退がネガティブに見えてしまうのだと思います。

例として、ももクロ早見あかりの脱退が挙げられているんですが、とても理解できるなぁと思います。早見あかりが脱退を発表した当時、ももクロは紅白出場に向けて夢に向かって進んでいる真っ最中でした。その中での離脱は「卒業」より「脱退」という言葉が合うなと思います。

 

言い方が良くないけど、叶うか叶わないか分かんない夢に向かって進み続けているのは、始まりの地点が明確であっても終わりの地点は見えないから、直線的だと言えるのだと思います。


③“反復”的な時間

さくら学院がこれに当てはまると挙げられていました。芸能事務所アミューズに所属するタレントで形成されるこのグループの最大の特徴は「成長期限定ユニット」のため、義務教育終了の中学3年生の3月で卒業するというものです。

「卒業」が制度として存在しているということは、これは「卒業」を反復の時間にしてしまっていると論じられています。

 

「卒業」というゴールが決まっていて見えているからこそ、ファンもアイドルもその中の時間を大切に過ごすことが出来るのはすごく魅力的なことだと思います。でもあんまりこういうアイドルグループは例を挙げられるほどいないんだな〜とも思いました。プロデュース側も難しいだろうからこういう反復的な時間を描いたアイドルはあんまりいないのかな。

 

一度好きになったアイドルにもう二度と会えないとかパフォーマンスを見れないとか、メンバー編成が変わってしまうとか、悲しいなって思うけど、本当はどうなんだろう。決まってないだけでどのアイドルもいつ会えなくなるかわかんないもんね。もしかしたら、この反復的な時間の方がアイドルにもファンにも優しい制度なのかもしれないな。


④“円環”的な時間

私立恵比寿中学の、『永遠に中学生』というコンセプトが円環的であると論じられています。エビ中では、卒業でも脱退でもなく、「転校」という表現がよく使われています。これは、転校という出来事は学校生活で不可避の制度であるからだと筆者は述べています。

 

永遠に中学生だから脱退でも卒業でもなく、ぐるぐる回っているような円環的になっている時間の中で転校するという表現がぴったりなのだと思います。

まあぶっちゃけこれに関しては無理矢理だなって思いますけどね。例外が過ぎません?(笑)私が知ってるアイドルでは円環的な時間の中で活動してるのエビ中しかいないんですけど、他に居たら教えてください…(他力本願)

 

例外といえば、例外に近い感じでももクロの活動スタイルが挙げられていました。

紅白出場が叶ったももクロの次の夢は国立競技場でのライブと発表されました。もう叶いましたね、すごい。本が出版されてから今までの間に夢がひとつ叶っているの、めちゃくちゃすごい。

オタクのあまり(?)話が逸れてしまいましたが、ももクロは積極的に夢の共有をファンとしています。ももクロは前に記した通り、直線的な時間の中にいます。けれど、夢の共有をすることで、「夢」という終わりが生まれます。その瞬間、「夢を発表した地点」を始まり、「夢が叶った地点」を終わりとした線分的時間が出来上がるんです。

設定された夢に向かってアイドルとファンが一丸となって進むことで物語を共有することになります。ももクロは、直線的な時間の中でたくさんの線分的時間を作って、夢として共有していることが強みとなっているんだと思います。

 

こんな感じで、大きく分けると4つだけどその中にも分けて考えることができるし、色々なパターンの時間認識があるんだなぁと知ることができました。

 

これを踏まえて、筆者は「自分が好きなアイドルはどうなの?とか、応用扁として考えてみて」とのことです。そこで例として本誌に書かれていた課題は「ジャニーズには卒業制度がないのはどうして?」というもの。

 

いや〜わかんないね。たしかに脱退は耳にするけど卒業って聞いたことないなぁ。前に説明されていた時間認識で考えてみると、ジャニーズのアイドルグループは「直線的な時間」に当てはまるってことですよね。

ひとつ絞り出して考えられることは、女性アイドルには終わる見込みがあるけど男性アイドルにはないということなのかなと思います。ジェンダーの話に繋がってきちゃうけど、社会的に見て女性は結婚し出産して仕事を辞める人もいる。

育休や産休制度が今はしっかりしてきているので古い考え方だろって思うかもしれないけど、アイドルに対して求められるようなジェンダーロールは古臭いものなので…

女性が結婚してパートナーが出来て、出産してママになると、女性アイドルに求められる要素がなくなっていってしまうんだと思います。このアイドルに求められる要素については今後書いていくことになると思うのでとりあえず流しておきます(笑)。

それに対して、男性は結婚して家庭を持つこと自体が男らしいと見られることもあるし、そもそも男性アイドルに求められているものは(アイドルだけじゃなくて一般男性にも共通する)歳を重ねるごとに魅力として現れてくるのではないかと思います。

だから、女性と男性で考えるとしたら女性が「線分的時間」で男性が「直線的時間」に当てはまるのかな。男性アイドルの代表格であるジャニーズには卒業制度が存在しないのは、直線のように終わりが想像されにくいからっていうのが理由かな〜と思います。まあわかんないけどね!

 

アイドルには、「この人アイドルになるべく生まれてきたな〜」と思うくらいアイドルな人がいるけど、その人ですらも生まれた時はアイドルじゃなかった訳です。ということは、何処かのタイミングでアイドルになって、もしかしたら辞めていくかもしれない。前の記事にも書いた通り、一人の人生を追っているのがファンだからそのタイミングにぶつかる可能性は絶対にあるんだよなぁ。だからこそ、線分的時間とか直線的時間とか、そういった言葉でグループを表すことが出来るんだと思いました。

アイドルって言い過ぎだしアイドルって言葉、形容詞にもなるのすご。

 

今回の章読んで、推しにはずっとアイドルしててほしいって気持ちは変わらないけど、辞める時はせめて「脱退」じゃなくて「卒業」であってほしいなって思いました。グループの夢が叶うまで居られなかったとかそんなのこっちからしたらどうでもいいので(笑)。あなたがアイドルをしてくれていることで、毎日助けられてる人がいるんだよ!と思うので、どんな理由でどんなきっかけで辞めることになろうと、みんな「卒業」でいいのでは?残されたメンバーのことを考えたら「脱退」が救いになるパターンもあるのかもしれないけどね。「脱退」がポジティブに捉えられるようになるのはもう難しいと思うので、アイドル界から「脱退」という言葉が無くなってしまえばいいな!

 

めちゃくちゃボリューミーになりました。ここまで読んだくれたあなた、4300文字も読んでますよ。ありがとうございます。

 

今を大切に、推しはいつまでもいるものじゃないと心に刻んで毎日生きていこう。楽しいのが一番!

 

お腹空いたので朝ごはん食べてきます。今日は東リベ観に行くんだ〜!そして今日こそは絶対勉強するんだ。長々とお付き合いありがとうございました。